海外視察inイギリス 2015 後編

 

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研修名:HSE海外視察 inイギリス

日時:2015年11月29日(日)~12月5日(土)

 

さくら薬局(山口)の西平です。

今回はイギリス視察研修の後編として、イギリスの薬局・薬剤師についてレポートします。

 

イギリスは「完全分業」の国です。

GPまたは病院から処方せんが発行され、薬局で処方せんに基づき投薬されます。イギリスでは多くの薬局を「門前」ではなく「面対応型」という意味の「コミュニティ薬局」と呼ばれています。

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イギリスの薬局

 

イギリスの薬局・薬剤師の特徴は三つあります。薬局内も分業が進んでいる、薬局は大きく分けて3種類のサービスを提供する、薬剤師の「独立処方権」が認められているということです。

一つ目の特徴は、薬局内も分業・分担?が進んでおり、「アシスタント」「テクニシャン」「薬剤師」の3つの職種が存在します。

「アシスタント」は、処方せんに基づき薬の取り揃え・ピッキング

「テクニシャン」は、取り揃えた薬を確認し、薬剤師に監査してもらい、患者になんと投薬! 箱出し調剤一般的で、例えば28日分の箱を渡すだけで服薬指導はしません。患者は箱の中の服薬支援文書で確認する仕組みで、自己責任で服薬するのが当然の文化。

「薬剤師」は、取り揃えた薬の監査、必要であれば疑義照会(テクニシャンにもできる内容もあり)。さらに必要であれば患者へのコンサルテーションやカウンセリングを行います。

薬剤師は対物より対人業務が中心で、薬局内にプライバシー配慮されたカウンターやカウンセリングルームが設置されています。

 

二つ目の特徴は薬局のサービスですが、NHSイングランドとの契約枠組みのもとで提供され、その契約枠組みは3種類のサービスからなります。

1.エッセンシャル(必須)サービス

2.アドバンスド(高度)サービス

3.エンハンスド(付加)サービス

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エッセンシャル(必須)サービスとは、全ての薬局が提供しなければならないサービスで、以下のものがあげられます。

・調剤 「処方せん医薬品」(POM:Prescription only medicines)

・リピート処方せん管理

・医療器具(ストマなど)のサービス

・不使用の薬剤の廃棄

・健康増進活動

・セルフケアのサポート

・OTCの販売

 

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処方せんと調剤室

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28日分の箱入りのオルメテック®

アドバンスド(高度)サービスは、診療室などの規定を満たした薬局のみ提供できます。

主な業務として、MUR、NMRの二つの業務が挙げられます。

MUR=メディシン・ユーズ・レビュー

慢性疾患患者が飲んでいる薬に一定期間後、副作用や異変がないか確認するサービスです。イギリスではリピート処方せんが増えており、何か問題がありそうな患者をピックアップして対応します。

NMR=ニュー・メディシン・サービス

新しい薬が処方された時に、服薬確認するサービスです。例えば吸入指導など実施しています。

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診察室とカウンセリングルーム

エンハンスド(付加)サービスは地域ごとに異なるサービスです。例として以下のようなサービスがあります。

・時間外

・外国語によるサービス

・Minor Ailments Management:風邪などの軽い症状に対しての処方(生活保護者に対して)

・公衆衛生に関わるサービス

  NHSヘルスチェック

  薬物依存治療

  禁煙指導

  セクシャルヘルスケアサービス(クラミジア検査など)

  ワクチン接種

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三つ目特徴として、日本と大きく違い、イギリスでは薬剤師の「独立処方権」が認められていることです。

特定のカリキュラムを卒業し、GPの元で臨床研修を受けた薬剤師には、独立処方権が与えられています。患者にヒアリングを行い、「NICE」という処方に関するマニュアルで、年齢性別群、EBM、コストメリットに基づいた薬の選定が出来るようになっています。

視察した薬局では、糖尿病・気管支喘息、COPDを専門とした独立処方権を持つ薬剤師がおり、専門外はGPに任されるとのことでした。

 

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Green Light Pharmacy

見学をしたロンドン市内のGreen Light Pharmacyは、ロンドン大学病院近隣の個人薬局です。薬剤師は3名ぐらい、テクニシャン・アシスタントが5名ぐらい在籍しているそうです。

薬剤師はロンドン大学の非常勤講師もされており、年間約800人の薬学生の短期実習を実施しています。

 

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薬局の中の様子

 

2/3がリフィル処方せんを受けており、リフィル処方、電子処方や旅行者等への処方、独立処方などの詳細な説明と、患者とのコンサルティングの様子、ロールプレイ、その時の着目点と考え方のレクチャーを受けました。

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薬局のスタッフの方々

一方的に説明するのではなく、「患者が本当に困っていることは何か?」を聞き出すことが大事と熱く語っておられ、日本の薬剤師も同じように対人業務へ本気で行動することが必要だと感じました。

最後に、イギリスでは、薬局薬剤師が信頼されており、患者・地域住民と親密な関係を構築していくために、薬剤師の権限・業務の拡大に繋がっていると感じました。

日本においても、仕組みに左右され、日常業務のみに終始するのあれば、進化・発展はありえません。未来に向かって、薬局・薬剤師業務の質・サービスの向上へ、地域の皆様に貢献するためにもっともっとアピールできるように考え行動することが必要です。

まず対物業務から対人業務へルーティンの見直しからはじめていこうと思います。