DIARYアクロス薬局日記

第28回日本外来小児科学会年次集会

第28回日本外来小児科学会年次集会
2018年8月25日(土)~26日(日)東京国際フォーラム

さくら薬局山口薬剤師酒井です。

今年は東京にて開催された、第28回日本外来小児科学会年次集会。
テーマは「<総合の知>を求めて~現場からの情報発信~」
総勢5名、さくら薬局山口からは4名参加させていただきました。

日本外来小児科学会年次集会

会場の東京国際フォーラム。
都会的な中に緑もあって、素敵な空間でした。

日本外来小児科学会年次集会

資料入れバッグ&ミニサイズのプログラムを受け取り、いざ出発。

日本外来小児科学会年次集会

一日目(8/25)
◆一般演題

ツロブテロールテープの副作用のひとつである振戦に着目し、発現の特徴等について調査を行った薬局の発表を聞きました。

一般演題

調査の結果、発現には再現性がみられ、減量してみても症状が続いた例もあったようです。
また、負荷がかかった時でないと症状が出ているのが分かりづらい…ということで
コップを持つ手がふるえている動画にて、実際に振戦が起こっている時の様子を見せていただきました。
気軽に貼付できるからこそ要注意。私たちの薬局でも処方される機会が多いので、
その点を意識して副作用確認・正しい使い方の周知に努めていきたいと感じました。

 

◆全体集会

全体集会

会頭講演、続いて記念賞授与式が行われました。

記念賞授与式では、徳丸實記念賞(本学会の設立・発展に尽力された徳丸實先生のお名前を冠して、学会の発展に寄与した会員に授与される賞)を、
我らが「たはらクリニック」の田原卓浩先生が受賞されました。
これまでのご活躍が紹介され、その後表彰状の授与。

表彰状授与

このたびは、本当におめでとうございます。
今後私たち薬局スタッフも、地域に根ざした患者さんを想う医療の提供に努め、お力添えできればと思います。

 

◆教育講演:子どものくつ~選び方とはき方の教育~

ヒトの足の形や骨格の基礎は6歳頃に決まると言われています。
すぐに大きくなるからと大きめサイズを買いがちですが、足に合っていない靴を履いていると、
下腿疲労・足指の湾曲変形といった悪影響を与えてしまいます。

今回の講演では、靴教育の歴史が長いドイツと日本との靴選びとを比較し、
靴を選ぶ上でのポイントや日本における問題点などについてお話いただきました。

ドイツでは、靴屋さんに行くと最初に足を測定し、その後時間をかけて親御さんと店員さんとが子供に合う靴を選んでいきます。
一般的に選ばれる靴は「折り返しベルトが2本ある、柄なし、革製」と機能性重視。
その代わり、ランドセルは子供が自分の好きなデザインのものを選んでいるようです。

一方、日本はキャラクターものやスポーツブランドもの等、お洒落・デザイン重視の傾向あり。
靴選びの知識の不足故、実は足に合っていないものを選んでしまっているようです。
避難訓練の時に脱げてしまうといった、危険につながる事例もあると伺いました。

私自身、巻き爪に悩まされた時期があったり、しっくりくる靴を選ぶのに苦労していたり…ということで、内容に惹かれて参加したこの講演。
自分に合った靴を選ぶには、自分の足のサイズや特徴を知ることが重要だと感じました。

以下のような靴選びのポイントが紹介されました。

<靴選びのポイント>
①甲をマジックテープやひもで留められる
②かかと周りが硬く、しっかりしている
③底が歩き方に合っている
④中敷が取り外せる(→洗って乾かせる、中敷を利用してのサイズチェック)

*中敷と足の大きさの差が

5㎜以下 きつい
7㎜~1㎝ ちょうどよい
1.5㎝以上 ゆるい

*サイズの目安
測定した実寸+捨寸(靴の中で適度に足が動かせるほどの余裕)、
成長量(0~2歳:3か月で0.5㎝、2~12歳:6か月で0.5㎝)を考慮する必要あり
捨寸が0.5㎝以下になったら買い替え時

 

二日目(8/26)
◆特別講演:子育てロックンロール 男性不妊を乗り越えて

ダイアモンド☆ユカイさんによるトーク形式で行われました。

1986年、ロックバンドRED WARRIORSのボーカルとしてメジャーデビュー。
音楽活動に加え、舞台・映画、バラエティ番組等と幅広く活躍されているユカイさん。
私生活では、男性不妊を乗り越え長女、その後双子の男の子も授かり3児のパパに。
今回はその経験談をお話いただきました。

5万件中、無事出産に至った例は約20%(2009年 日本産婦人科学会発表)といわれる体外受精。
身体・精神的負担に加え経済的負担も大きく、治療を続けるにあたっての葛藤、
3度目の挑戦で待望の女の子が生まれた喜び等、リアルなお話を聞くことができました。

また、男性不妊について知ることの重要性も強く訴えておられました。

最後にはミニライブも行われ、贅沢なひとときでした。

 

◆ランチョンセミナー
「医療チームの使命:VPDから子どもを守る」~多職種協働のスキルアップをめざして~

VPDから子供を守る

VPD=Vaccine Preventable Diseases

健康と命に関わる重大な病気ですが、ワクチンで防ぐことができます。
それには、保護者にVPDの重大さやワクチンの大切さ等に関する正しい情報を知ってもらい、
お子さんに必要なワクチンを適切な時期に受けてもらうことが大切です。

このセミナーは、携帯電話を使ってのアンケートシステムを利用して行われました。
講演の合間に、ワクチン接種スケジュールに関する質問が投げかけられ、回答をリアルタイムで集計。
参加者の勤務施設における傾向も反映しながらお話を進めていくという、興味深い内容でした。

今回も趣向を凝らした企画から多くの収穫や気づきがあり、有意義な2日間となりました。
来年は福岡で開催予定です。